質問24 納音(Nachin)って何?
納音なんていうものは、あまりにも馬鹿げているので、触れなくてもいいと思っていましたが、最近、陰陽師がらみの安倍晴明占いで復活したようなので、ここで取り上げることにしました。
この納音は数理をもとにして、陰陽五行論とは相容れないものを、六十干支に配布する方法です。その詳しい構成を説明することは、無駄なことですから省きます。
ですから、この段階でおわかりのように、陰陽五行論から逸脱したものですので、触れる必要もないと考えているのです。
しかしながら、隋の時代に著された 『五行大義』にはすでに取り上げられていますので、その歴史はかなりありますが、中国の原書を見ますと、
「納音は聖人がその意味を解釈して定めたものだから、むやみに拡大解釈してはならない」
と注意書きがしてあるものもあります。また、古書中にその意味とか作用の説明を見ることもできますが、具体性はなく、かなり抽象的です。
しかし、日本で最近見られるものは、納音によって、人の運命とか性格を論じています。本場中国でも言われていなかったことが見られるのです。納音が運命学のひとつの視点として採用し始められたのは、考証的には明治時代以降のことと考えられます。
つまり、安倍晴明は納音を知っていたということは、文献考証的に正しいことと思われます。しかし、安倍晴明占いの中心をなす納音は、100年程度の歴史しかないものです。にもかかわらず、あたかも1000年も前の人物である安倍晴明の作であると、偽っているのです。
私は、20年以上四柱推命に関わっていますが、安倍晴明占いなどというものを目にしたのは、ほんのここ1、2年のことです。あくまで推測ですが、映画「陰陽師」の公開に合わせて、どこかの出版社の企画会議の中で出来上がったものではないかと思います。 |