質問2 紫微斗数(しびとすう)とは?
紫微斗数とは、紫微星という星に、人の運命をつかさどる天帝がいるという信仰から始まった占星術に近い占術です。紫微星とは北極星のことです。斗は、北斗七星のことです(二十八宿の斗宿<いて座辺り>という解釈もできます)。北極星を中心にしてすべての星が回っているのを見た古代人が、神秘的なものを感じ、そうした信仰が生まれたのではないかと推測されます。
しかし、星といえども永遠のものではありませんし、1000年、2000年経過しますと移動します。例えば、二十八宿が言われ始めたとされる紀元前1000年頃には、現在とは異なる星が北極星の位置にありました。それは天文学的に計算できますし、いまだにその星が「帝星」と呼ばれていることからも証明できます。
つまり、紫微斗数という方法の根拠はすでに失われているのです。また、南半球の場合は、当然全く通用しないことになりますし、百歩譲っても、北半球と南半球にはそれぞれ運命をつかさどる天帝がいるということになるのですが、おかしくありません。日本人がオーストラリアに移住したら、南半球の天帝にご挨拶する必要があるのですから………。
また、紫微斗数を紫薇斗数として、クサカンムリをつけている方もいます。薇は、エンドウ豆か、あるいは山菜のゼンマイという意味です。つまり、紫薇斗数を直訳すると、紫色のエンドウ豆の一斗(一升の十倍、約18リットル)の数、ということになります。流派の違いかも知れませんが、寡聞ながら中国の書籍中に、そういうものを見たことはありません。純日本製の占術なのでしょうか。
いろいろ本を見ますと、誤字・誤植が弟子から弟子に延々と引き継がれているのを見かけます。私は、紫微斗数の出版物の誤植か、あるいは著者の誤字が延々と引き継がれて、いつのまにか「紫薇の方が正しい」ということになってしまったのではないかと思っています。 |