以下の説明を読み、すんなりと理解していただけるのは、私の講義に出席された方と新刊『基礎から最高峰を目指す四柱推命の本』の読者だけでしょうが、現状ではまだ少部数しか世の中に流通していませんので、読者の対象が少ないことを承知の上で、あえて、こうした形で情報を発信することにしました。
十二運は事象を示す用語ではない
街中の書店に行き、四柱推命の本をパラパラとめくりますと、そのほとんどすべてに十二運(生旺墓絶ともいう)が重要な項目として取り上げられています。インターネットにおいても、書店に並んでいる本の影響下とみられる記述ばかりで、十二運は四柱推命における必須の視点であるとされています。
中国の古典を見ますと、不思議なことに日本の現状とは真逆なのです。
名著と言われる『滴天髓』では、十二運の用語は使用していますが、十二運による具体的な事象は一切論じられていません。つまり、十二運はあくまで一年十二カ月における干の変遷を示すものでしかなく、それに事象的な意味合いはないのです。
また、その他の古書で、十二運について古書に論じられているところを見ますと、干の陰陽により、十二運の巡りが逆になるという考え方があります。陽干の甲木は亥が「長生」とされていますが、陰干の乙木は午が「長生」とされているものもあります。
こうした十二運における、先賢の苦心を一切無視し、日本では十二運を事象を見る際の重要な視点として扱っていて、使用している人が圧倒的多数という、不思議というか、情けない状況にあるのです。
日本のほとんどの四柱推命はかなり奇妙
さて、十二運の役目の一つは、一年十二カ月における干の強弱の変遷を知ることにあります。長生とか冠帯、帝旺に当たる支が四柱八字中にあれば、その干には勢いがあり、逆に、衰、病、絶などがあれば、衰えていると判断するのです。そして問題であるのは、勢いがあればすべて良好で、衰えていれば不良であると、短絡的に事象のよしあしに直結させ、十二運を使っていることです。
ただこのよしあしの二分類では、不都合が当然頻発しますから、その際には十二運は無視して、別に用意してある、天徳貴人とか空亡とかの神殺を引用し、ごまかしに近い方法が採られているのです。
また、四柱八字中には、四支あり、そのそれぞれに十二運が対応します。さらに大運があり、流年があります。人から生年月日時をうかがった後、四柱八字と大運を出すのですが、事象を見る段階になりますと、最大で六つの十二運が絡み合うことになるのですが、これらの六つの十二運の絡み合いが意味するところを論理的に処理する方法は存在していません。
こうした論理不在で、理屈もへったくれもない形で、十二運を受け入れることができる人が、日本には多くいるようで、残念なのですが、これが現実であると捉えています。
『滴天髓』には、十二運に代わる概念として「旺相死囚休」という概念が存在します。四季により、干の勢いが変化するという視点です。十二運と旺相死囚休には、似たところが多いため共存できません。つまり、十二運を採るか、旺相死囚休を採るかという話になります。
日本の四柱推命は、ほとんどの方が十二運を採り、一割弱の人が旺相死囚休を採っています。この日本の現状は少なくとも、四柱推命の本流から外れていることになります。
改めて言いますが、日本の四柱推命は、中国の古典を参照しますと、かなり奇妙でおかしい。
日本は、外国から取り入れたものを魔改造して元よりいいものに作り替えると言われています。技術にしろ文化にしろ、すべて日本的にしつつ、本家より良化させたものが多くあります。しかし、四柱推命の世界においては、こうした日本特有の良さは、ほとんど発揮されていないようです。
詳しくは、『サクサクわかる 四柱推命の本』を参照してください。
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<大正7>~2037年<平成49>
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