以下の説明を読み、すんなりと理解していただけるのは、私の講義に出席された方と新刊『基礎から最高峰を目指す四柱推命の本』の読者だけでしょうが、現状ではまだ少部数しか世の中に流通していませんので、読者の対象が少ないことを承知の上で、あえて、こうした形で情報を発信することにしました。
意外なところで「幇」の字に巡りあう
五行の相互作用として、生と剋のほか、幇(ほう)があります。訓読みでは、たすける、となり、扶けると同等であろうと考えてきました。
藤堂明保編・漢和大字典(学習研究社)を見ましても、「なかま。わきから助けてくれるなかま」とありますので、マイナスの意味はないように書かれています。
『滴天髓』の乙木のところには、「藤蘿(ふじかずら)が甲(こう)に繋(か)かるは、春よし、秋よし。」とあり、乙木に隣接して陽干の甲木があることは、大変有力なたすけとなるといわれてもいます(拙著『滴天髓』通神論を参照)。
ところが、歴史学者・宮脇淳子先生の最新刊『かわいそうな歴史の国中国人』を読んでいましたなら、この「幇」の字が出てきたのです(同書65ページ)。読みは、パン、だそうです。
中国大陸では、異民族がひしめき合っているため、共通語がなく、隣の集落であっても言葉が通じないことも多くあったようなのですが、そのため、言葉が通じ、意思疎通ができる同族・血縁で集団を作り生活していたそうなのです。
こうした集団は「表」の社会を形成する仕組みなのですが、このほかに同族・血縁を越えた、集団も存在していたようなのです。これを「幇」と言うそうです。宮脇先生の本によれば、その集団は秘密結社のようなもので、多くは犯罪組織に近い「裏」の世界を形成していたというのです。
つまり、「幇」には、たすけあう、という意味合いはあるものの、実態は、悪事の助け合いを意味することになるのです。
四柱推命の用語には、吉凶の意味が込められている
ですから、中国の古典に見られる「幇」の字には、当然こうした裏の意味を込められていると考えるのが、妥当であろうと考えられるのです。
通変の用語においても、劫財は「財をかすめる」という意味ですし、偏印は「偏った印」という意味ですし、偏印の別称の梟神(きょうじん)などは、「フクロウが捕らえたカエルなどを枝に刺す」という意味があります。つまり、名称自体に、好ましくない意味合いがあるのです。
ですから、「幇」についても同様に、好ましくない意味が込められているのでしょう。しかし、「幇」の作用には、いい場合もあるし、悪い場合もあると考えるのが、実証的には正しい見識であると言えます。
詳しくは、『サクサクわかる 四柱推命の本』を参照してください。
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<大正7>~2037年<平成49>
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