以下の説明を読み、すんなりと理解していただけるのは、私の講義に出席された方と新刊『基礎から最高峰を目指す四柱推命の本』の読者だけでしょうが、現状ではまだ少部数しか世の中に流通していませんので、読者の対象が少ないことを承知の上で、あえて、こうした形で情報を発信することにしました。
名著『滴天髓』では空亡は完全無視
空亡は、神殺といわれるものの中の一つです。神殺には、次のようなものがあります。
空亡(天中殺)、天徳貴人、天乙貴人、月徳貴人、月徳合、華蓋、咸池、駅馬、小児関殺、劫殺、亡神、寡宿、文昌、元辰、魁ごう、三奇、等々。
神殺は、100は超えるほどあり、それらをすべて四柱八字に書き込みますと、かなり煩雑な体裁になります。また、100以上もありますと、とても覚え切れませんので、神殺の一覧表を首っ引きで参照することになります。
ちなみに、四柱推命の名著と言われる『滴天髓』では、空亡を含め、神殺の類は完全否定されています。また、五行の生剋制化さえ覚えていれば、四柱八字のよしあしは理解できますので、一覧表といったものは必要がない、四柱推命の看方が採られています。
空亡に固執する日本の四柱推命の不可解なあり方
さて、神殺はとてつもなく多くあるのですが、日本では、なぜかその中でも空亡とか天徳貴人などが使われることが多いように思います。
空亡はごく単純な構成ですから、誰にでも即座に理解できるという特性があります。だいたいにおいて、単純なものは世間一般に広まりやすいという原則がありますので、空亡を考案した方が誰かは不明ですが、こうした原則を心得た、ある意味優秀な方だったのでしょう。
また、700年ほど前の書である『滴天髓』に完全否定されている神殺が、どうして現在の日本でいまだに使用されているのでしょうか。
私なりの考えですが、四柱推命に関わる以上、何らかの具体的な結論が欲しくなります。空亡を使用すれば、簡単に「この年と、この年は要注意」といった答えを得られますので、それが当たろうが外れようがは関係なく、便利な道具なので、手放すことができないのであろうと思います。
空亡では、一番単純な見方では、十二年のうち2年が空亡に該当し、要注意となり、完全な周期性を持っていますから、一度知ったら、後は自分でも判断できます。
大運に空亡を該当させる見方もあるようです。大運の場合、20年間も連続して要注意の時期が続くことになりますので、問題は深刻です。しかし、大運の空亡の作用の反証は、いくらでも見つけることができます。空亡には、当たる当たらない以前の問題があります。無視してしかるべきです。
いずれにしましても空亡を始め、神殺の類を採用しますと、『滴天髓』の流れをくむ推命とは、本質的にかけ離れた、四柱推命もどきになってしまうのです。
「空亡を使用しない」、そして、このコラムでも触れた「十二運を採用しない」、そうした四柱推命のあり方が存在することを、一人でも多くの方に知っていただきたいと思います。
詳しくは、『サクサクわかる 四柱推命の本』を参照してください。
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<大正7>~2037年<平成49>
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