以下の説明を読み、すんなりと理解していただけるのは、私の講義に出席された方と新刊『基礎から最高峰を目指す四柱推命の本』の読者だけでしょうが、現状ではまだ少部数しか世の中に流通していませんので、読者の対象が少ないことを承知の上で、あえて、こうした形で情報を発信することにしました。
確かに古代中国にも占星術風のものはあった
ごく少数の人たちなのですが、四柱推命は占星術の一種であるかのようなことを言っているものをネットで見かけます。確かに、暦を扱うには天文学的な知識が求められますし、惑星の名前に、木星とか、金星、土星とありますので、占星術と思いたくなる気持ちもわからないでもありません。
また、通変の名称においても、通変星と「星」を付ける人がかなりの割合で存在するため、これも四柱推命が占星術であるかのような誤解を招く原因になっているように思っています。
しかし、四柱推命には占星術的な要素はひとかけらもありません。
「七星四余」「紫微斗数(Shibi-Tosu)」とは
そもそも占星術とは、天体の動きが人の運命を左右しているという考えを前提とした占いです。西洋占星術は、太陽系の惑星と太陽、月の位置を根拠として占っているようです。
中国にも占星術と言ってもいいものがあります。「七星四余」「紫微斗数(Shibi-Tosu)」がそれに当たります。「七星四余」とは、太陽、水星、金星、月、火星、木星、土星の7つに、仮想の天体4つを加えた、古代中国の占星術風の占いです。
なお、誤解を招かないため言っておきますが、五行が先に考案され、惑星の名前は五行を元にして後から命名されたものです。木星といわれるから、五行の木は星に関わるというのは、本末転倒なのです。
ただ「七星四余」の興味深い点は、「四余」という仮想の天体を4つ設定していることです。現代天文学の知識を強引に当てはめるなら、「四余」は、近代になってから発見された、小惑星帯、天王星、海王星、冥王星に該当しているとも言えるのです。偶然とは言え、興味深いことです。
「紫微斗数」は、紫微星に運命をつかさどる天帝がおられるという信仰が根底にある占術です。紫微星は、現在の北極星に対応します。夜空をおおいつくす星々が、すべて紫微星を中心に回っていることから、古代人は紫微星に神秘的な存在を感じたのでしょう。
ところが、現在の天体図を見ますと、紫微星という名の星は北極星から少し外れたところにあります。なぜかと言いますと、星といえども1000年、2000年経ちますと動くからです(原因は地球の歳差運動)。現在、北極星から少し外れたところにある紫微星は、天文計算により、3000年ほど前には現在の北極星の辺りにあったことがわかっています。天帝は、何らかの事情で引っ越されたのです。
清代の『星平會海全書』という名著について
さて、中国における占いには、星曜系、干支系といわれる二通りの運命学があります。「七星四余」「紫微斗数」は前者の星曜系に分類されます。そして四柱推命は後者の干支系になります。写真は、清代の『星平會海全書』という本です。本のタイトルの「星」は星曜系、「平」は干支系を指し、星曜系と干支系の文献を分類・編纂し、学術的とも言えるレベルにまで高めている隠れた名著です。
星曜系の「七星四余」「紫微斗数」にも干支表記が見られますから、干支系とまったく無関係ではないと言えますし、四柱推命においても、その長い歴史の過程において、支合などの星曜系の用語が見られますから、両者に明確な境界線はありません。しかし、四柱推命には惑星は無関係ですから、あくまで干支系の運命学で、占星術とされる要素はまったくないのです。
こうした事実をご存じない方々が、「四柱推命は占星術」と言っているのでしょう。
詳しくは、『サクサクわかる 四柱推命の本』を参照してください。
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<大正7>~2037年<平成49>
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