以下の説明を読み、すんなりと理解していただけるのは、私の講義に出席された方と新刊『基礎から最高峰を目指す四柱推命の本』の読者だけでしょうが、現状ではまだ少部数しか世の中に流通していませんので、読者の対象が少ないことを承知の上で、あえて、こうした形で情報を発信することにしました。
四柱八字には何らかの非調和があるものだが
五行が調和するなら、健康で穏やかな日々を過ごすことができますが、すべての人の四柱八字には何かしらの非調和があるものです。
通常、事象を見る際には、四柱八字と大運、そして流年をあわせて判断することになりますが、その人の生まれながらの体質や気質を見る際には、四柱八字のみを対象にします。
日干を中心にしますので、通変で見ることになり、比劫が強い四柱八字、食傷が強い四柱八字、財が強い四柱八字、官殺が強い四柱八字、印が強い四柱八字と、大きく分けて五通りの四柱八字のあり方があります。
この五通りの四柱八字の中で、印が強い四柱八字は問題が発生しやすいことになります。さらに、印が強く、かつ日干が最弱という条件が加わりますと、最悪と言える四柱八字になります。
印が強ければ自動的に日干も強くなると勘違いしている人が割と多くいますが、この考えは誤りです。どこが誤りかと言いますと、「印強」と「日干と比劫が強い状態」の区別を曖昧にしてしまっているからです。印が強くても日干が弱いことがあります。
具体的な実例
例えば、次のような四柱八字が該当します。
時 日 月 年
壬 甲 壬 甲
申 申 申 子
「旺の逆転」は起こりませんので、年月の蔵干に変化はなく、元もママです。つまり、申月金旺に生まれ、日干甲木は死令。日支の蔵干には庚金が蔵されていますので、死令の日干甲木は庚金に剋され、さらに弱まり、最弱になります。
ところが月干と時干に陽干の印の壬水があります。壬水が弱い日干甲木を助けてくれ、救いになっていると見るのは、この四柱八字の場合では誤りなのです。
壬水は陽干であり、かつ相令です。日干の力量に対して、5倍、10倍くらいと思われる強さがあります。中国の古典に生じる五行が強すぎる場合に対して、次のようなことがいわれている歌訣を見ることができます。
木多火熄。火多土焦。土多金埋。金多水濁。水多木漂。
上記の四柱八字は、最後の「水多木漂」に該当します。この漢文を意訳しますと、
「水が多いと、木は漂う」
つまり、水は本来木を生じる五行であるのですが、あまりにも水が強い(多い)と、木は漂い流れてしまう、といわれているのです。
木にある程度の強さがあれば、漂い流れることはないのですが、上記の四柱八字のように木が最弱になりますと、この漢文にいわれていることに該当するのです。
最悪とは生命に関わるという意味
さて、「水多木漂」となり、どのような事象が発生したのかですが、上記の四柱八字の人は、先天性食道狭窄症でした。つまり、食道が先天的にふさがっているため、食事をしても胃に届かないのです。40年、50年くらい前の日本であっても、こうした障害のある新生児は出生後すぐに亡くなったことでしょう。幸いこの方は、1984年に大病院で生まれたため、出生後すぐに手術が行なわれ、助かりました。
このように、日干が最弱で生じる五行が強すぎる四柱八字は生命に関わるような問題が発生するのです。だから、最悪と言っているのです。なお、生じる五行が2つとも陽干の壬水であることが事態を悪化させていることを理解する必要があります。
陽干の壬水と陰干の癸水では、その印としての作用は、倍は違うと考えています。干の陰陽の違いは、当然のように事象に大きな差を発生させる原因になります。
詳しくは、『サクサクわかる 四柱推命の本』を参照してください。
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<大正7>~2037年<平成49>
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