視点19 易(eki)も四柱推命も同じもの???
占いとか運命学といわれているものは多くありますが、お互いに関わりの深いもの、浅いものがあります。中国系のものに限っていえば、干支系といわれる十干と十二支をもとにしたものと、星曜系といわれる、天体をもとにしたものに分けることができます。
ただしこの2つも、微妙に関わりを持っていて、境界がはっきりしないところはあります。
『星平會海全書(Seiheikaikaizensyo)』という、割と有名な書がありますが、この本のタイトルの「星」は星曜系の占術のことで、「平」とは子平のことです。つまりこの書は、2つの代表的な占術に関する記述を編纂したものなのです。
しかし、中国における占い同士にはお互いに関係はあるのですが、長い年月を経る間に、内容的に異なるところが多く発生し、まったく別物と考えるべきものになっています。
例えば、奇門遁甲(Kimontonkou)から九星術とか気学といわれているものが派生したといわれていますが、この2つは別物と考えた方がいいと思われます。
ネット上で多くの占いのサイトを見ることができますが、それぞれ現在は独自の方法論を持つ占術に分化しているものを、どれもこれもいっしょくたにして、境界線というか、違いを無視しているものを多く見かけます。
子平(四柱推命)と九星術(気学)をごちゃ混ぜにしているものが、その最たるものと言えましょう。そうした自称四柱推命には、関わらないほうが賢明です。
それはともかくとして、一番気になるのが、易と四柱推命を混同しているものです。
易は、『易經(ekikyou)』という書を原典とするもので、その内容の解釈にはいろいろあるでしょうが、基本的には、古代中国人が、自然と人との関わりを解き明そうと試みた思考の過程がわかる、大変素晴らしい書物だと思います。だからこそ、現代まで、その価値を失うことなく、伝えられていると思います。
そして、四柱推命との関わり、という点で言えば、陰陽五行論のおおもととなっています。これは間違いないと言えます。
では、四柱推命と易で言われていることが同じかと言いますと、その考え方に共通する部分はありますが、四柱推命には『易經』にはいわれていない多くの要素があります。
四柱推命が体系的に確立したのは、『易經』が著わされてから1000年以上のちのことです。ですから、『易經』が起源になっていることは否定しませんが、1000年という時間が経過する間に、四柱推命はまったく別のものと言ってもいいくらい、変貌を遂げているのです。
ですから、易と四柱推命を同じものとして扱うのは、ちょっと……だいぶ…おかしいんでは、と思うのです。 |