四柱推命において最重要と言える「陰陽五行論」の根底には、弁証法の考えが流れています。ですから、推命を専門的に学ぶには、弁証法は避けては通れない課題となります。
ところが、弁証法が哲学・論理学としてもっとも活用されたのは、社会主義や共産主義の政治活動であり、特に中国では、共産主義の名の下に、ヒトラーを超えるほどの大量殺戮が行なわれたため、今では触れることさえ、汚らわしい過去の遺物のように扱われることが多くなっています。
しかし、弁証法は現代科学の世界では今も息づいています。量子力学が一番わかりやすい実例となりますが、このことは表だって言われることがないため、正しく理解している人がほとんど存在しないのが現状です。
唯物弁証法と言えば、マルクス、エンゲルス、毛澤東(毛沢東)の名が思い浮かびますが、これらの人は政治活動に明け暮れ、残念なことに、論理学としての弁証法の書を遺すことはありませんでした。唯一、ここで取り上げた毛澤東の「矛盾論」のみが、わりと平易な弁証法の解説書として現存しているのです。
日本では、「矛盾論」は「実践論」と一つの冊子に収められ、出版されていたのですが、今では絶版状態で、古本屋でしか入手できない状態です。
つい先日(2012年11月)石原慎太郎氏が、共産主義については全面否定しながら、この毛澤東の「矛盾論」を推奨されていましたが、私も一度は目を通しておく価値がある名著と考えています。
今、手元にある「実践論」と「矛盾論」の文庫本は、尾崎庄太郎氏の翻訳により、1952年出刊され、1955年に改訳による改訂が行なわれている書です。出刊後、60年近くたっていますので、紙は劣化していて、気をつけて扱わないとちぎれてしまいます。
こうした名著、名訳は、電子書籍化しなければと思い立ちました。たかだか70ページほどの内容ですが、全文を入力するのは余りにも大変なので、今年2012年2月に購入した「一太郎『承』Super Premium 2012」に付いていた、ハンディ・スキャナーとOCRソフトを駆使して、電子文書化に臨みました。
まず、全ページを拡大コピーして、そのあとスキャナーで読み込み、OCRソフトでデータ化。5日ほどで、すべて処理が終わりました。
まだタブレットも電子書籍リーダーも持ち合わせていないのですが、すべてのデバイスで読みやすいように最適化したつもりです。スマホのような小さなデバイスで読むことも想定しています。
作成時の用紙サイズはB5、右綴じ、右開き、全71ページで、出力データ形式はPDF(489KB)となり、PC、タブレット等で読むことができます。
また、電子書籍を作成する元となった書では、「ただしい」「たがいに」「おおく」「すすむ」などなど、平易な言葉に、やたら平仮名が多く、かえって読みにくいと判断しましたので、すべて漢字に変換しました。
2012-11-16
「矛盾論」のダウンロード 9ページのみ参考資料として閲覧可能 2013/01/16
※作成した「矛盾論」の全データを公開しようと考えていたのですが、データの完成後、訳者の尾崎庄太郎氏が亡くなったのが1990年であることをネットで知り、著作権の問題があるため公開を断念することになりました。こうした名著が埋もれるのは大変残念です。尾崎庄太郎氏のご子孫の方に連絡を取れないかと思案しています。
2012-11-16 - 2013-01-16