以下の説明を読み、すんなりと理解していただけるのは、私の講義に出席された方と最新刊『基礎から最高峰を目指す四柱推命の本』の読者だけでしょうが、あえて、現状ではまだ少部数しか世の中に流通していませんので、読者の対象が少ないことを承知の上で、こうした形で情報を発信することにしました。
笹井芳樹氏の四柱八字を出してみて、驚きました。かなり特殊なのです。
生年月日/1962年3月5日出生時間不明 性別/男 年齢/52歳
大運交替/約0歳3カ月23日 交替年月/壬年巳月
壬 寅(甲) 壬(庚) 大運 壬寅
壬 寅(甲) 壬(庚) 0 癸卯
壬 寅(甲) 壬(甲) 10 甲辰
□ □(□) □(□)20 乙巳
30 丙午
40 丁未
50 戊申
出生時間は不明ですが、もし生時が壬寅刻なら、古書にいわれている、天元一気格、地元一気格なのです。拙著『滴天髓』通神論に、四辛卯の四柱八字の実例を掲げてありますが、こうした四柱八字は、暦の構成上存在することがわかっていても、本人に巡りあうことはかなり困難な、珍しい四柱八字です。
さて、笹井芳樹氏の出生時間はどうなのでしょうか。
京都大学医学部出身で、若くして重職を任され、ES細胞の分野では世界的な権威です。また、研究のための予算を取る能力にも長けていて、科学者・研究者でありながら、実業家かプロデューサーの如き能力を兼ね備えていたそうです。
三柱を見ますと、49歳までの丁未運まで研究者として能力を十二分に発揮し、成果を残していますから、財と官殺の「通変の調和」が成立していたのではないかと思われます。あるいは、大運乙巳以前に巡っている、食傷の甲乙木がらみの「通変の調和」とも考えられます。
ですから、前者であれば、時干に官殺の戊土か己土があれば、この条件に合致します。戊申刻か己酉刻生まれではないかということになります。後者であれば、庚子刻、辛丑刻、庚戌刻、辛亥刻の可能性があることにあります。さてどちらでしょうか。
再生医療の分野は実験科学です。実験科学の分野への適性は、五常の金の帰納的思考の働きが必要になります。ですから、後者の四刻のいずれかが出生時間であろうと推定されます。そして、いずれであっても日干は強になります。
大運40歳丁未から50歳戊申への移行は、五行が一変しますので、人生の大転機になります。自殺されたのが52歳甲午年。生時に庚金があれば、流年の甲木を剋し、その甲木は大運の戊土を剋すことができなくなります。
すると戊土は強い日干を剋すことなく、金を生じ、金は日干を強め、転々として悪循環に陥ることになるのです。本来良好な作用をもたらすはずの官殺の戊土さえ、敵になるという最悪の状態なのです。この見方は『滴天髓』六親論中に「忌神輾転攻」といわれています。
庚子刻と庚戌刻生まれのいずれが、より五行の調和に問題かと言いますと、前者の庚子(癸)刻となり、自殺という最悪の事象を考慮するなら、こちらではないかと考えられます。
壬 寅(甲) 壬(庚) 大運 壬寅
壬 寅(甲) 壬(庚) 0 癸卯
壬 寅(甲) 壬(甲) 10 甲辰
庚 子(癸) 庚(癸) 20 乙巳
30 丙午
40 丁未
50 戊申
※上記の説明には、本書独自の蔵干の考え方と、格局に代わる」「旺の逆転」という視点が含まれています。詳しくは、基礎から最高峰を目指す『四柱推命の本』を参照してください。
2014・8・10
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