以下の説明を読み、すんなりと理解していただけるのは、私の講義に出席された方と最新刊『基礎から最高峰を目指す四柱推命の本』の読者だけでしょうが、あえて、現状ではまだ少部数しか世の中に流通していませんので、読者の対象が少ないことを承知の上で、こうした形で情報を発信することにしました。
中毒とまではならないにしても、酒やタバコの依存症ではないかと自覚している人は、このコラムの読者の中にもいることでしょう。タバコの税収は年間2兆円を超えていますので、酒を含めれば、とてつもない数の依存症の人が日本にいるのは確実のようです。
一方、覚醒剤や脱法ドラッグは、日本で普通に生活していれば、まずそうしたものに巡りあうことはありませんから、現在騒がれているA氏の事件も、別世界の話のように思えます。
さて、四柱推命では、習慣性があり、絶つことが難しい場合が多い嗜好品や薬物の愛好者になるかどうかは、通変の印のあり方から推察することになります。本コラム「Vol.14 物質的な幸福感と生理的な幸福感」に触れた、「生理的な幸福感」がこの依存症や中毒に関連します。
依存症や中毒になりやすい人の四柱八字中における印のあり方には、次の二通りがあります。
(一)日干に隣接して印があり、印の強さが日干と同等かあるいは日干より強い
(二)日干が極めて弱いのに、生助してくれる印がない
上記の四柱八字のあり方に、大運の影響が加わり、変化します。(一)の場合、大運に財が巡り、印を剋して弱めれば、印による依存症への方向性は絶たれます。(二)の場合、大運に印か比劫が巡り、日干が強められれば同様です。
では、なぜ印がこうした依存症や中毒といった事象に関わるのかと言いますと、通変の印の基本的・根源的な作用に、快楽や快感を求め、不快感や苦痛を排除しようとする働きがあるからなのです。
「快楽や快感を求める」という作用は、生命を維持するという究極の目的を実現するためにあると考えられます。「不快感や苦痛を排除する」のは、生命を維持することに害があるからなのです。
四柱八字が(一)に該当する人は、楽しさや快楽を感じることを意識的に選択し、行動します。その行動の延長線上に依存症や中毒があるのです。
(二)に該当する人は、印がないことにより、毎日が辛くてしようがない、穏やかに過ごすことができる時間がなく、ストレスを日常的に感じるという状況に身を置いているため、そういった状況から多少なりとも脱することができるかもしれない方法として酒やタバコを求めるのです。これに該当する実例は、社会の第一線で活躍している人で、酒やタバコをたしなんでいる人に割と多く見られます。
(一)(二)に該当する人が、何らかのきっかけで覚醒剤などに巡りあいますと、ブレーキが利かず、人生を棒に振るようなこともあり得るのです。
ちなみに現在騒がれているA氏は、生年月日と出生時間が判明しています。その四柱八字は (一)に該当し、若い頃は大運に財が巡り、印を剋し、その不良な作用を抑えてくれていたのが、47歳ごろにこの良好な作用が終了してしまっています。そして特殊な社会に身を置いている人ですから、金さえ出せばいくらでも覚醒剤を手に入れることができるルートに巡りあってしまったのでしょう。
では、大運に財が巡り、印を剋していた時期に、A氏はどうして覚醒剤に手を出さなかったのか、ですが、仕事が充実していて、自身の評価と社会的評価がシンクロしていると感じ、相応の見返りがあったからではないかと推察することができます。有名になり、多忙を極めても、莫大な収入を得ることになったため、「物質的幸福感」が「生理的幸福感」を凌駕し、ストレスや苦痛さえも快感に転化されていたからなのでしょう。
既述のように、印の根源的作用は「生命の維持」なのですが、快楽、快感を求め続けた挙げ句のはて、覚醒剤がらみになってしまいますと生命の存続を脅かすことにもなるのは、何とも皮肉な話です。
※上記の説明には、本書独自の蔵干の考え方と、格局に代わる」「旺の逆転」という視点が含まれています。詳しくは、基礎から最高峰を目指す『四柱推命の本』を参照してください。
2014・6・2
Since:1998-08-05 /// Last updated:2023-8-2
著作権法に基づき、本サイトの内容を、無断で引用、複製、翻訳、放送、出版、改変、等することを禁じます。