以下の説明を読み、すんなりと理解していただけるのは、私の講義に出席された方と最新刊『基礎から最高峰を目指す四柱推命の本』の読者だけでしょうが、あえて、現状ではまだ少部数しか世の中に流通していませんので、読者の対象が少ないことを承知の上で、こうした形で情報を発信することにしました。
干支暦(kanshi-reki)は、四柱推命で使用する暦(koyomi)です。日常使用している暦は太陽暦といわれ、この暦の日付を基準として私たちは生活しています。例えば、今日、生まれたなら、誕生日は2014年5月23日となるわけです。現在ではイスラム圏の一部をのぞき、太陽暦は世界共通の暦になっています。
四柱推命では、太陽暦で表示されている誕生日を干支暦に変換し、年、月、日、時の4つの干支からなる四柱八字を出すことになります。
干支暦が学術的にきっちりした形で編纂され、使用され始めたのは、西暦85年に施行された「四分暦」が最初ではないかと思います。ですから、少なくとも2000年ほどの間、干支暦は使用され続けているのです。
壬申の乱、戊辰戦争、辛亥革命など、歴史上の事件や出来事は、その年の干支を使用して記録されています。阪神タイガースのホームグランドがある「甲子園」の名称も、1924年の甲子年に開場されたことに由来します。また、古典を扱うような文系で学部では、干支暦への理解は必須であると聞いたことがあります。
さて、干支暦の構造はじつに単純です。甲子から始まり、癸亥で終わる60の干支が、年、月、日、時のそれぞれにおいて順に巡るだけです。
しかし、よくよく見てみますと、秩序のある見事な規則が存在することがわかり、その規則は現代の天文学的に見ても意味あるものとなっているのです。
干支暦は、60の干支が、年、月、日、時のそれぞれにおいて順に巡るだけと述べましたが、年月と日時は独立しています。年と月の干支は、相互に関連しつつ干支が順に巡り、同様に日と時の干支も、相互に関連しつつ干支が順に巡ります。
「相互に関連」とは、じつに単純なことです。干支は60通りしかありませんので、60年経過すれば元に戻るしかありません。1年は12カ月ですから、月の干支も60カ月、つまり5年経ちますと、元に戻ります。
この相互の関連が、年月の干支と日時の干支において別々に動いているのです。ですから、年月の干支と日時の干支は独立していると言えるのです。
年月の干支の中の、月の干支は、1年12カ月の変遷に対応します。それは季節の変遷とも言えます。ですから、年月の2つの干支は、四季の変化を生み出す「地球の公転運動」に対応していると考えられるのです。
「公転」とは、地球が太陽の周りを回っていることです。
そして、日時の2つの干支は、「地球の自転運動」に対応していることになるのです。ちなみに、干支暦が成立した頃は天動説が信じられていましたから、こうした現代における天文学による解釈を許容する仕組みが古来よりの干支暦に存在することは、驚嘆に値することと言えます。
なお、干支暦には、ほかに二十四節気といった天文学的な知見が背景に存在します。四柱推命を趣味の範囲で学ぶのであれば、こうした暦法の知識は不要ですが、人に教えるような立場になるには、必須の知識と言えると思います。
また、暦とか暦法に興味を持ち、研究を始めますと、これだけで人生を捧げる必要があるくらいの膨大な内容があります。とりあえず四柱推命を学びたいとお考えなら、暦や暦法などという深奥な世界に深入りしないようにしたほうが賢明であると言えます。
※上記の説明には、本書独自の蔵干の考え方と、格局に代わる」「旺の逆転」という視点が含まれています。詳しくは、基礎から最高峰を目指す『四柱推命の本』を参照してください。
2014・5・23
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