以下の説明を読み、すんなりと理解していただけるのは、私の講義に出席された方と最新刊『基礎から最高峰を目指す四柱推命の本』の読者だけでしょうが、あえて、現状ではまだ少部数しか世の中に流通していませんので、読者の対象が少ないことを承知の上で、こうした形で情報を発信することにしました。
運命学に分類される四柱推命に長らく関わっているのですが、いまだに「運命」という言葉に違和感を感じます。「四柱推命を通して知ろうとしていることは、運命とは違うのではないか」という思いがあるのです。
そこでまず、「運命」という言葉の正確な意味を確認しておきます。「漢和字典」には次のようにいわれています。
「幸不幸、吉凶などが、人の意志を超越して人にめぐってくる現象。めぐり合わせ。」
上で問題なのは「人の意志を超越して」とある部分です。世間一般の運命のとらえ方は、この「漢和字典」にいわれている通りであることは理解できますが、四柱推命で知ろうとしていることは、決して「人の意志を超越して」はいないと思うのです。
ですから、運命という語彙が世間一般の理解で正しいとするなら、四柱推命は「運命」とは無関係なのです。四柱推命は運命を論じるために存在しているのではないのです。
では、四柱推命で論じ、知ることができるのは何なのかです。
四柱推命では、生年月日と生まれた時間を元にして、その人の「運命」なるものを論じる方法とされています。生年月日を元にするという点は、あまたある他の占いと同じです。ただ四柱推命では、出生時間が必須である点が、他の占いとは異なるくらいです。
実際に、四柱推命に関わっていますと、その人の生まれながらの気質や性格、そして能力、体質といわれているものが人生を大きく左右していることを確認することができます。
現在は、DNAを調べれば、これらのことはかなり詳細にわかるようになっています。しかし、DNAの検査には時間軸がないことが、四柱推命との決定的な違いです。
気質は親からの遺伝ですから、一生変わることはありませんが、性格は変化する要因があります。体質も遺伝的要素の影響が大きいのですが、体質がわかっても、時間軸の視点がなければいつ発病するかはわかるはずもありません。
以上のように、四柱推命でわかることの根本をなすものは遺伝的要因であり、それに四柱推命独自の時間軸の視点が加わっているのです。
ですから、人生にさまざまな起伏が起こり、幸不幸の事象が現われる原因の根本は、遺伝的な要素に左右されていると考えられるのです。
つまりどういうことかと言いますと、その人自身の中に「運命」と言われるものを駆動する要因や原因が存在しているのです。こう考えることにより、四柱推命は他の占術とは別物であると言うことができるのではないかと考えます。
すべての占いでは、いいこと悪いことの原因は、「運命」として空から降ってくるかのような扱いですから、それこそ傘でも差せば、不幸から逃れられるという考えです。傘になるのは、姓名の改名であり、吉方であり、家相などであるわけです。
このコラム「Vol.15 論理的に解明できない不可思議な現象」に触れましたように、奇妙な現象に遭遇することがあり、論理で解決できることの限界を思い知らされる場面もありますが、基本的には四柱推命における吉凶の考え方は、自己責任と考えるのが本筋なのです。
※上記の説明には、本書独自の蔵干の考え方と、格局に代わる」「旺の逆転」という視点が含まれています。詳しくは、基礎から最高峰を目指す『四柱推命の本』を参照してください。
2014・5・19
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