以下の説明を読み、すんなりと理解していただけるのは、私の講義に出席された方と最新刊『基礎から最高峰を目指す四柱推命の本』の読者だけでしょうが、あえて、現状ではまだ少部数しか世の中に流通していませんので、読者の対象が少ないことを承知の上で、こうした形で情報を発信することにしました。
科学も宗教も身近な存在ですが、その根底に存在する考え方には決定的な違いがあります。
哲学用語を使用して、その違いを表現するなら、
科学は、唯物論であり、弁証法的である。
宗教は、観念論であり、形而上的である。
上記の哲学用語については、Wikiなどで調べてください。
さてこの「四柱推命コラム」Vol.1に掲げたように、五常の事象は次のように2つに分けるとができます。
情緒性 水 木
論理性 火 金
ここで宗教と科学に深く関わるのは、火と金の「論理性」のほうです。同じ「論理性」の中に、火と金がともに含まれていますが、それぞれ異なる作用があります。
火の作用は「演繹的思考」と言えます。演繹は論理学の用語ですが、これを砕いて説明すると次のようになります。
「ある理念、思想、定理を根拠として、千差万別の現実の事象を理解する」
となります。もう少しわかりやすく表現しますと、例えば、授業で習った数学の定義・定理を、実際の問題を解く際に応用する脳の働きと言えます。ですから、火の作用のみで、理系への適性があると言うこともできるのです。
しかしながら、「理念、思想」のところに「宗教の教義」が入りこみますと、この演繹的な思考は宗教心を形成することになるのです。そのため、科学者に信心深い人が存在することになるのです。
金の作用は「帰納的思考」と言えます。帰納も論理学の用語ですが、これを砕いて説明すると次のようになります。
「無秩序であり、千差万別の現実の事象から、理念、思想、定理を構築する」
となります。一種の経験則とも言えることになります。もう少しわかりやすく表現しますと、例えば、科学者なら実験を通して、一般の人なら経験を積み重ねることにより、理念、思想、定理、もう少し砕いて言うなら、経験則や人生訓を形成することに関連しているのです。
つまり、火の作用である「演繹的思考」と、金の作用である「帰納的思考」には、真逆の作用があるのです。この両者がともに四柱八字中に揃うことにより、初めて、発展的な論理の展開が可能になり、真の意味での科学者の適性を形成することになるのです。
さて、学校で習った定理や定義を、実際の場面に応用してみたところ不都合が生じた場合、帰納的思考によりフィードバックして、絶対正しいとされていた定理や定義を見直すという循環が行なわれることになるのです。
ですから、「理念、思想」のところに「宗教の教義」が入りこみますと、「宗教の教義」は絶対ですから、それを見直すことなどあり得ないことですので、四柱八字に火の作用と金の作用が揃っている人は、宗教といった存在に関わりをもたないことにもなるのです。
なお、宗教に熱心になる動機には2つあると理解しています。1つは、生まれながら宗教的なもの、神秘的なもの(超能力や占いを含む)を好む場合。もう1つは、大病をして生死を彷徨った経験があるとか、社会生活でどん底の経験をした場合。いずれも、表向きの現象は類似していますが、心の奥底の動機はまったく異なるのです。
以上述べました、火と金の視点のみで、その人が宗教に対してどのような考えを持っているのか推し量れない要因も存在しています。
※上記の説明には、本書独自の蔵干の考え方と、格局に代わる」「旺の逆転」という視点が含まれています。詳しくは、基礎から最高峰を目指す『四柱推命の本』を参照してください。
2014・4・15
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