以下の説明を読み、すんなりと理解していただけるのは、私の講義に出席された方と最新刊『基礎から最高峰を目指す四柱推命の本』の読者だけでしょうが、あえて、現状ではまだ少部数しか世の中に流通していませんので、読者の対象が少ないことを承知の上で、こうした形で情報を発信することにしました。
物理学にはエントロピーという概念があります。エントロピーは増大する一方の非可逆的な現象であることがわかっています。
例えば、水に塩を入れますと、時間が経つにつれ、塩分は水に拡散し均一化され、いわゆる塩水になりますが、これが逆に、水と塩が分離するような方向に現象が進むことはないのです。これが「エントロピーが増大する一方」と言っている意味です。
物質においては、エントロピーは増大する一方で、言い方を換えるなら、秩序が崩壊するしか道がないのです。ところが、人間を含めた生物を見ますと、そうではない部分があるのです。
すべての生物の体内では化学反応が起き、物質としての変化が起きているのですが、同時にエントロピー(秩序の崩壊)が減少しているような事象も見られるのです。
例えば、いろいろ経験を重ねますと人は利口になっていきます。同じ失敗をしないように行動するようになります。これはエントロピーの減少です。また、かなり高齢になっても、脳内のシナプスによる回路が改善されるということも判明しています。
人だけではなく生命全般において、生命のない物質とは異なる仕組みがあるのです。
運命学において、将来を予知するには、エントロピーという物理法則は困った存在なのですが、現実においては人はエントロピーを何らかの仕組みで乗り越えているかのようなのです。
四柱推命に関わり、同時にエントロピーの絶対的な概念の存在を考えますと、人にはエントロピーの制約を当然受けつつ、それを逃れる仕組みを備えているのではないかと考えたくなります。
その逃れるための仕組みは「周期性」です。一回りしたら元に戻るのではなく、前回とは発展した形で元に戻るような仕組みです。中国の古典には「生成発展」といわれ、哲学書には「止揚」といわれる循環律です。
人にエントロピーを回避する仕組みが備わっているおかげで、四柱推命という運命学が成立しているのではないでしょうか。
※上記の説明には、本書独自の蔵干の考え方と、格局に代わる」「旺の逆転」という視点が含まれています。詳しくは、基礎から最高峰を目指す『四柱推命の本』を参照してください。
2015・2・5
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